産後ママのための「ママズルーム」。小児科に隣接した、安心して休めるケアと相談の居場所

ご近所

今回のこもれび記者は、2人の子どもを育てる母親! 産後には、いなみ小児科が運営するママズルームを利用した経験者でもあります。

「ママズルームは産後ママの安息の地。ここがなかったら私の産後はもっともっと苦しいものになっていたと思います」

そんな安心感とあたたかさに支えられた場所が、2025年7月、いなみ小児科のすぐお隣に移転し、より使いやすくなりました。その新しいママズルームを、記者が早速取材してきました。

産後ケアとは? ~“かわいい、愛おしい” でも “心も体もつらい” ~

出産はゴールのようでいて、新しい生活のスタートでもあります。その一方で、ママの心身には大きな負担がかかります。睡眠不足や授乳の悩み、心の不安など… 産後の生活は決して「喜びだけ」ではありません。

そんな時期に支えになるのが「産後ケア」。体調チェックや授乳・育児の相談、母乳ケアやアロマなどのリラクゼーション、安心して休める空間の提供まで、専門スタッフがママをサポートします。

世田谷区でも区の制度として、ゆっくり休める宿泊型や日帰り型の産後ケアを利用することができ、ママズルームは日帰り型拠点のひとつとなっています。

新しくなったママズルーム

これまでママズルームは、いなみ小児科と同じ建物の1階にありましたが、2025年7月からは1階部分まるごとお隣の建物へ移転!

  • 個室でゆっくりと休めるベッドスペース
  • つながりや生活を意識した動線設計
  • 小児科と建物が分かれたことで、感染対策もさらに強化

人気のアロママッサージはこれまでどおり小児科の建物で継続。小児科医への相談もでき、医療とケア、リラクゼーションが自然につながる体制です。

優しい色を基調とした個室。ひとりで仮眠するもよし、ほっとお茶を飲むのもよし。ランチは個室でとってもリビングで皆で食べてもOK。

地域のゆるやかなつながりを築く場所にしていきたい

どうして小児科が産後ケアを?

【いなみ院長】もともと小児科医として、子育て支援というのが常に頭にあったんです。昔は、隣のおじさんおばさんが怒ってくれたり、面倒見てくれたりしたけども、今はそれが難しいでしょう。じゃあ小児科医が隣のおじさんおばさんになればいいと思ったんだよね。

そう思ってやっていたんだけれど、お母さんたちと接していると、大きなストレスを抱えている人もいて。病児保育はやっていたけれど、それ以外のお母さんたちへのケアが必要なんじゃないかと思い始めてね。

そのころに、ちょうど小児科をやっているビルと縁があったんですよ。それでね、世田谷区と話して、“産後ケア、こそだて広場をやりたいんだけれども”って話をして。『いいでしょう』ということで、1階に産後ケアとこそだて広場、2階に小児科、3階に病児保育を。それが10年くらい前の話かな。

いなみ院長。優しい笑顔とエネルギーに癒されます

やってみていかがでしたか?

【いなみ院長】小児科の開業医って、せいぜい生後2ヶ月からの予防接種くらいからしか赤ちゃんを診ない。でも、小児科医が産後ケアに関わることで、もっと小さい赤ちゃんもお母さんと一緒に来てくれる。生後2ヶ月より前の赤ちゃんを診たり、サポートができるのは非常によい点ですね。

こうやって早期にサポートができると、半年過ぎて一般診療で来たときも、お互いにリラックスして、『ちょっと下の広場で遊んでいったら?』って気軽に言えるようになっている。途切れることなく、包括的な支援にもつながっていると感じています。

(注釈 : 世田谷区産後ケアが利用できるのは子どもが生後4か月の前日まで)

今後への想いを聞かせてください!

【いなみ院長】相手の気持ちを分かりたいという姿勢は絶対必要で、それがあって初めてコミュニケーションが取れるようになる。だからぼくは、まずはお母さんたちの話をしっかりと聞く、分かろうとする。それから少しずつサポートしていけばいいんだって、職員に話しています。

お母さん、子ども、孫のことまで考えた、地域のゆるやかなつながりを築く場所にしていきたいんです。

いなみ院長。地域の包括的ケアの思いを話してくれました。

新しくなったママズルーム:助産師の川崎さんが紹介

ママズルームで過ごす一日の流れを教えてください。

「午前は助産師と(体調チェックや悩みのヒアリング)から。来てくれたお母さんによってスケジュールは少しずつ違いますが、10時~18時まで。一日の流れは、移転前とほぼ同じです」

ママズルーム 1日の流れ

時間内容
10:00ママ:診察券・保険証・医療証・母子手帳の確認/利用料のお預かり/問診表記入/お部屋案内
赤ちゃん:身体測定・視診
10:30小児科医診察(希望者のみ)/ウォーターベッド(希望者のみ)/ご相談・ご休憩など
11:30ご相談・ご休憩など(自由時間)
12:30ランチタイム:「ごゆっくりお召し上がりください」
13:00アロママッサージ(希望者のみ)/ご相談・ご休憩など
15:00おやつタイム(休憩や授乳のタイミングを見て合間にご提供)
16:30お部屋退室:授乳・帰り支度
17:50ママズルーム最終退室
18:00玄関クローズ
ママズルーム助産師 川崎さん。産院で助産師として勤務した後、ママズルームで産後ケアを専門として日々、ママたちに寄り添っています。
ある日のランチ。美味しそう!

 新しくなったママズルーム、どうですか?

「個室もありますが、みなさん自然とリビングスペースに集まってきます。空調も3時間で入れ替わるしくみになっているので、感染面でも安心。コロナ禍で薄れたお母さん同士のつながりも、また戻ってきたらと思っています。」

まるで家のような空間。自然光が窓から指し、全体に温かいほっとする雰囲気です。写真に写っていない手前側にママが休憩する個室が配置されています

利用者の方に何か変化はありましたか?

「広くなったことで、助産師が赤ちゃんと色々な遊びが出来るようになり、それを見たお母さんたちが “あ、こんな感じで良いんだ” というヒントにしてくれているようです。

場所が変わっても、お母さんが休息したり相談ができる場であることは同じ。ゆったり赤ちゃんに向き合える、その人らしい育児ーー満足、ほっこり、ちょうどいいーーを見つけるお手伝いをしていきたいと考えています。

「これでいいのかな?」「どうしたらいいのかな?」「ちょっと聞いてください」 など、何でもどうぞ!」

川崎さんによる赤ちゃんとの遊び完全再現。見ているこちらまで笑顔になるようなあたたかな時間です。
こもれび記者SOPHこ

産後ケアは、すべてのママに必要な時間です。 かわいい、愛おしい。でも心も体もつらい。 その両方の気持ちを抱えながら歩む産後の日々に、ちょっと休んでいいんだ、これでいいんだ、と思えるだけで明日からの育児が少し楽になる。

今回の取材を通じて私も「…3人目考えようかな。あの時より気力体力衰えてるけど、ママズルーム利用したい! ここがあればいけるんじゃないか?」 なーんて、結構本気で考えてしまいました。

安心できる場所が地域にある。それだけで、子育ての日々はこんなにも心強い。これからもママズルームが、多くのママと赤ちゃんの笑顔を支える拠点であり続けることを願っています。

ママズルーム(いなみ小児科)

住所:東京都世田谷区下馬3-10-7(いなみ小児科 隣接建物 2階)
開所日:月・火・木・金曜日(祝日・年末年始は利用できません)
開所時間:10時~18時

利用料:世田谷区産後ケア事業としての自己負担額あり (3000円)
利用対象者:世田谷区にお住まいで、生後4か月未満の赤ちゃんとそのお母さん
※ 詳細について世田谷区ホームページをご参照ください
電話番号:03-6413-8435

こもれび記者 : SOPHこ

駒沢エリア在住、二児の母。
フルタイムワークママ、地域での子育て支援活動にも力を注いでいます。”面白そう!やってみよう” と今日も楽しく過ごしています。

『今日の駒沢』編集部

駒沢エリアの情報を発信するウェブマガジンの編集部です。駒沢大学駅に隣接した商業ビルの運営・施設管理・テナントへの賃貸業務を26年、株式会社イマックスが、駒沢エリアに住む人、働く人、活動する人…とたくさんの市民の方々と一緒に運営しています。「駒沢こもれびプロジェクト」を通じて、駒沢エリアに関わるすべての方々に役立つ情報を発信しています。

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