よく晴れた12月はじめの日曜日。駒沢パーククォーターのドッグフレンドリーエリアには、リードにつながれた犬たちと、その足元に自然と輪をつくる飼い主さんたちの姿がありました。
この日開催されたのは、One for Wan主催のドッグイベント「犬の社会化 〜愛犬と学ぶ飼い主さん講座」。講師は世田谷を中心に活動するドッグトレーナーの西岡裕記さん。ロイヤルホスト駒沢パーククォーター店のテラス席(ペット同伴可能エリア)で、“犬と一緒に外で過ごす”ことを、実際の場所で体験しながら学ぶ今回の企画。
犬と人が同じ空間で、できるだけ心地よく過ごすためにはどうしたら良いのか。そのヒントが随所に散りばめられた当日の様子をお届けします。
社会化とは、「完璧にさせること」じゃない
西岡ドッグトレーナーが最初に伝えたのは、「社会化とは犬を静かにさせることでも、指示に従わせることでもない」ということ。人が行き交い、音があり、匂いがある場所で、犬も人もできるだけリラックスして過ごす。そのために、飼い主が意識できることがある。
西岡さん:ワンちゃんが時々吠えてしまうのは、仕方がないんです。大事なのは、そのままにしないこと
吠えを完全に止めることよりも、飼い主が“止めようとしているか”“どのように犬を落ち着かせるか”。その姿勢と実際に鎮める行為が、まわりの人や子どもたちに安心感を与える。そんな考え方が、終始一貫していました。

西岡ドッグトレーナーからの「カフェマナー」ポイント
ロイヤルホストでの実践に向けて、西岡さんからは具体的なカフェマナーについてのポイントが挙げられました。
①リードは短めに
嬉しくなると、匂いにつられて他のテーブルへ行ってしまうことも。座っているときは、足元に犬がいられる長さを意識。②食事中は、できればリードを手に持つ
両手を使う場合は、足に軽くリードを巻くのも一つの方法。③抱っこが難しいときは、足元で待たせる
ずっと抱っこするより、犬も落ち着く場合がある。④椅子やテーブルの上に犬を乗せない
犬の足は“土足”と同じ。人が使う場所としての配慮を。⑤人間用の食器やカトラリーは使わない
フォークなどで犬に食べさせるのもNGマナー。


ロイヤルホストでの、はじめての挑戦
今回の会場となったロイヤルホスト駒沢パーククォーター店のテラス席(ペット同伴可能エリア)。この場で、同店エリアマネージャーの近藤さんからも話がありました。

近藤さん:ロイヤルホストとして、ここまでワンちゃん向けの取り組みを行うのは、今回が初めてなんです。
11月のオープン後、利用客からの反響は想定以上だったそうです。
近藤さん:“待っていました”という声も多くて、HPを見て目黒方面から来てくださる方もいます。スタッフの間でも、ここまで反応があるとは正直思っていませんでした
ペット同伴可のテラス席は、案内の仕方や動線、スタッフ間の共通認識づくりなど、既存店舗とは異なるオペレーションが求められます。現場では日々試行錯誤を重ねながら、少しずつ運用を整えている段階だといいます。
近藤さん:駒沢という場所の特性と、利用するお客さんの意識。その両方がそろったからこそ実現した挑戦です。まずはこの店舗で、無理のない形を探り、将来的にはこうした取り組みが他の店舗にも広がっていったら嬉しいですね。
ワンバーガーが「薄味」な理由

講座中に話題に上がったのが、ワンちゃん向けメニューの「ワンバーガー」。
犬は人と比べて体が小さく、塩分の影響を受けやすい動物。人の外食と同じ味付けは、犬にとっては塩分過多になりがちです。特に小型犬の場合、1日に必要とする塩分量はごくわずか。香りや素材の味を活かし、味付けはできるだけ控える。それが犬向けメニューの基本的な考え方だそうです。
ワンバーガーの注文は多いんですか?
注文の入らない日がほとんどないくらい好評です!

商業施設だからこそ、できる啓蒙
施設全体としてもワンちゃんマナーの掲示はありますが、店舗単位での取り組みや、今回のようなイベントがあることで、飼っている人・飼っていない人、双方にとっての安心感が生まれます。
店舗側が直接言いづらいことを、One for Wanのような団体がきちんと伝える。それも、このイベントの大きな役割でした。
ここまでワンちゃんが安心して入れる商業施設は、なかなかないと思います。この状態が続くように、飼い主側もきちんとマナーを守って利用しなければ、と感じました。
One for Wan代表の齊郷さんは、犬と一緒に商業施設に訪れることについて、こう語ります。

「駒沢パーククォーター」のドッグフレンドリーエリアは、犬も人もいっしょに、自分の家、自分の庭のように過ごせる場所にしたいという話を聞いた時、これは、とても“度量の大きな施設” だと思いました。
しかし……果たしてきれいなまま維持できるのか? 飼い主側としても心配になりました。
利用のルールはどうしようか? と、話し合いを重ね、出した結論は『駒沢パーククォーターに入ってから出るまで、犬におしっこさせない。『飼い主さんはそのための用意をする』こと。
駒沢パーククォーターでも「バックに入れる」「カートに入れる」「犬のトイレをすませてから入館する」。心配があるなら「マナーパンツを装着する」。 選択は、それぞれの飼い主さんにお任せしたいのです。もしも、うっかり汚してしまったときにはご自分で片づけてくださいねと。
いかがでしょうか? 「あたりまえでしょ?」と思っていただけたらうれしい限りです。
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駒沢パーククォーター1Fのデジタルサイネージに流れる動画には犬をモチーフにしたものも流れており、“IT’S DOG PARTY TIME”というフレーズが登場します。ワンちゃんパーティ始まるよ! 今回の講座では、まさに犬と人がお互いマナーを守りつつ、同じテーブルを賑やかに囲む風景が当たり前となっていました。

ロイヤルホスト駒沢パーククォーター店限定〈アフタヌーンティー〉
ペットの同伴が可能なロイヤルホスト駒沢パーククォーター店。さらにここだけの取り組みとして、平日14時〜17時の時間は「アフタヌーンティー」の体験ができます。カレルチャペック紅茶店の3種類のティーセットや、ロイヤルホスト定番のスイーツが楽しめます。
齊郷 恵
広島県生まれ。東京都公立中学校勤務の後、早期退職。2012年よりセカンドステージとして自分を人・まちにつないでくれた“犬”をきっかけに社会とつながりたいと模索。RSSC(立教セカンドステージ大学)入校。動物愛護団体の立ち上げにも関わる。 せたがやソーシャルビジネスセミナー参加後、仲間と共に「駒沢ドッグストリートプロジェクト」を始める。「せたがやソーシャルビジネスアワード」参加。2013年より「駒沢公園お散歩教習所」「こまいぬクラブ」発足。活動が広がり2021年「一般社団法人One for Wan」設立。現在に至る。
西岡 裕記
専門学校・青山ケンネルカレッジを卒業。警察犬訓練所やショップ、ブリーダーのもとでトレーナーとして修行を重ねる。現場ではトレーニングに加え、トリマー業務やショップの店舗管理なども経験し、さまざまな形で動物業界に携わる。
その後独立し、フリーのドッグトレーナーとして活動を開始。各地のショップで定期的にクラスを持つほか、動物病院やトリミングサロンからの紹介を通じて、その実力は口コミで広がっていく。さらに、犬服ブランドやCM、映画撮影の現場では、コーディネートや出演犬のトレーニングも手がけるなど、活動は多岐にわたる。
『今日の駒沢』編集部
駒沢エリアの情報を発信するウェブマガジンの編集部です。駒沢大学駅に隣接した商業ビルの運営・施設管理・テナントへの賃貸業務を26年、株式会社イマックスが、駒沢エリアに住む人、働く人、活動する人…とたくさんの市民の方々と一緒に運営しています。「駒沢こもれびプロジェクト」を通じて、駒沢エリアに関わるすべての方々に役立つ情報を発信しています。
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人が食べると、少し薄味に感じると思います。
近藤さんもワンバーガー、召し上がったんですか?
いや、私はまだ…厨房スタッフは何度か味見しているそうですよ。