駒沢パーククォーターで3月6日(金)からアパレルブランドsalvia(サルビア)のポップアップイベント「春の市」が開催されます。東京蔵前にお店を構えるsalviaの主宰で、デザイナーのセキユリヲさん。グラフィック・テキスタイルのデザイナーとして活動を続けてきたセキさんのモットーは「古きよきを新しく」。
現在は北海道東川町で暮らすセキさんですが、20代には駒沢の近くに住んだことも。今回のイベントを前に、salviaが届ける商品や想いについて聞きました。

体調を崩した時間から生まれた salvia
昔から駒沢には縁があったそうですね
【セキ】そうそう。21歳から4年間、上野毛の多摩美術大学の夜間コースに通っていて、その時は三軒茶屋に住んでいました。駒沢はすぐ隣だったので、自転車でよく通っていたのを覚えています。その後、子どもが小さかった時は、自転車の前後ろに乗せて駒沢公園や弦巻あたりに遊びに行ってましたよ。自由な雰囲気と、住宅街の温かさが感じられて好きだったなぁ。

働きながら大学に?
【セキ】その頃は個人のデザイン事務所に勤めていて、昼間はがむしゃらに、修行のように働いて、夕方5時から9時まで学校に通っていました。デジタル設備が整っている学科だったので、パソコンやプリンターなど、当時としてはかなり充実していた印象です。プリンターが使い放題だったので、早めに学校に行き、フリーペーパーを作ったりしてました。

夜間コースということは社会人も多かったんですか?
【セキ】高校卒業してすぐ来る子もいたし、浪人してくる子も。社会人優先枠というのがあったので、私みたいに働きながら通う人、休職して来る人など色々でした。その時できた繋がりは今でも財産です。
それまで中・高と公立の学校に行ってたんですが、そこでは会えなかった、自分と志向が近い人たちに出会えて「わぁここは天国だな」と思いました。
サルビアの誕生はその頃だと聞いています
【セキ】美大って課題がいっぱい出るんですが、授業が夕方だったので、家に帰った夜10時〜11時頃に課題を開始。就寝は日をまたいでから、という生活を数年続けていたら、体調を崩しちゃって。40度の高熱がずっと続き、医者からも半年きちんと休んだほうが良いと言われたんです。その時期に描いていたスケッチがサルビアの図案のもとになりました。


溜まっていたスケッチからサルビアを立ち上げようと感じたきっかけは?
【セキ】原宿にGALLERY ROCKETというスペースがあるんですが、そこで展覧会をすることになりまして。一緒に取り組んでいる友達もいたので、展示に向けて何か活動名がほしいと考えていました。“1960年代のレトロな喫茶店みたいな響きにしたい”という想いからsalviaという名前にしたんです。
なぜ“くつ下”だったのか
サルビアとの最初の接触が靴下という方は多いと思います。靴下を作ることになった経緯や他とは違う部分について聞かせてください。
【セキ】最初はただただ靴下が好きだったのと、靴下を作りたいという気持ちだけでした(笑)。自分が履ける暖かくて、可愛い靴下が欲しいなと。
ただ、私が活動を始めた頃は、個人がデザインした靴下を製作できる環境はほとんどありませんでした。どこに相談しても、できないと反対されて。ペシャンコになってた時に、新潟にある「くつ下工房」の代表である上林さんが「私だったらできるかもしれない」と言ってくれたんです。

新潟! よく見つけましたね。
【セキ】当時まだ発達していないインターネットで調べていたら、小ロットで、しかもとても古い機械を使って一足一足大切に靴下を作っている工房があることを知ったんです。
上林さんのご両親が病気で入院した際に、足のむくみを改善してあげたいという思いで作られたのが、ゴムなしの縛り付けない靴下だったんです。今サルビアで「まいにちくつした」と呼んでいる商品ですね。
その話を聞き、上林さんの想いを届けるお手伝いもできたらなと感じ、一緒に試行錯誤をすることになりました。

サルビアのスローガンとして「古きよきを新しく」とありますね
【セキ】どんな世代の人が見てもどこか懐かしい気持ちになれるもの、を届けたいと思っています。尖った新しいものを生み出すことより、自分たちで身につけて気持ちがいいとか、生活が豊かになると思ってもらえるものを作っていきたいですね。
カード織りと、手を動かす時間
今回のポップアップでは「カード織り」のワークショップも4日間限定で実施されますが、どういったものですか?
【セキ】カード織りはその名の通り、四角いカードをくるくると回しながら模様を作る織物です。私が2009-10年にスウェーデンの手工芸学校・カペラゴーデンに留学した時の先生がカード織りを専門に研究している方でした。他の人が興味を示さない中、私はずーっとカード織りについて聞いて回ってました。


セキさんはグラフィックデザイナーですが、テキスタイル、とりわけ織物のどういった部分に惹かれたんですか。
【セキ】グラフィックの勉強は大学で、そして仕事としてやってきました。テキスタイルはお仕事として関わることはあったので、わからないながらに取り組んでいました。
そうしていくうち、きちんと基礎を学びたいなと思い始めたんです。当時漠然と北欧のどこかに住んでみたいという想いもあって、スウェーデンのカペラゴーデンという手工芸学校のテキスタイル学科を学舎として選びました。スウェーデン織りに関しては、最初から学びたかったというよりは、留学先で出会い惚れてしまったという感じです。
カード織りを体験できる場所が、日本では少ないと聞きました。
【セキ】とても限られていますね。今回のワークショップに参加される方は貴重な機会になると思います。カード織り自体が珍しいというのもありますが、手を動かして無心になる時間は雑多な時代の今、すごく大事だと思うんです。
いま、北海道の東川町で暮らしていますが、月に1回、東川手芸部という部活動を開催しています。他愛もない話をしながら手を動かす時間は、とても豊かです。そして、ふと集中して没頭する瞬間は、瞑想に近い静けさをもたらしてくれます。

東川に移住して、デザイン活動への影響はありましたか?
【セキ】移住して5年目になりますが、もう毎日毎日自然の移り変わりがすごくて。今の時期は一面真っ白な雪に覆われていて、外を歩くと地面がつるんつるん。自然の変化を楽しみながら図案に落とし込むことが制作の流れになりました。

定番小物から新登場のスツールまで
3月6日から始まるポップアップ「春の市」ではどういった商品が並ぶ予定ですか?
【セキ】東京蔵前のショップに置いてある定番アイテムはひとしきり並びます。一番人気のふんわりくつした、そしてまいにちくつした。ふんわりくつしたはメンズ・ベビー用も揃えています。肌触りの良いコットンやシルクの「グランマストール」、刺繍がかわいい「よそおいブローチ」、刺繍帆布の「バケツバッグ」などもおすすめです。


セキさんのテキスタイル作品も見ることができますか?
【セキ】はい、昨年金沢の展覧会で出したプリントテキスタイルも展示・販売します。東川の春夏秋冬を表現した、長さ3メートルのテキスタイルで、お家にそのままかけてもらうことができます。

あとは、張り地にスウェーデン織りのテキスタイルを張ったスツールが新作として登場します。今まで蔵前のお店で出していなかったものもお持ちするので、ぜひ足を運んでもらいたいですね。
楽しみにしています!セキさん、ありがとうございました。
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セキユリヲ
グラフィックやテキスタイルを専門とするデザイナー。2000年にサルビアを立ち上げる。日常や自然をモチーフにした図案制作を軸に、雑貨やプロダクト、出版物など幅広い分野で活動。「古きよきを新しく」をテーマに、暮らしに寄り添うものづくりを続ける。2021年より北海道東川町在住。
photo / eri shimizu
『今日の駒沢』編集部
駒沢エリアの情報を発信するウェブマガジンの編集部です。駒沢大学駅に隣接した商業ビルの運営・施設管理・テナントへの賃貸業務を26年、株式会社イマックスが、駒沢エリアに住む人、働く人、活動する人…とたくさんの市民の方々と一緒に運営しています。「駒沢こもれびプロジェクト」を通じて、駒沢エリアに関わるすべての方々に役立つ情報を発信しています。
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「春の市」では他にもこんな商品が出品されます!
● ワタナベマキさんのオリジナル調味料「醤」
● 今治タオル
● 旭川・勝かごの竹かご
● リリーフウエアの服