仕事に生きすぎない、でも本気で向き合う。#flowership塚田さんの「ちょうどいい」経営と暮らし。【後編】<テナントインタビューその②>

2025年秋に駒沢大学駅前にオープンする商業施設に、移転という形で店舗を出店することになった花屋「#flowership」。後編では、3人の子どもを持つ母親でありながら、チャレンジをし続ける塚田さんの、生き方のマインドについてお話を伺いました。

ひとりでは何もできないから

塚田さんはお子さん3人を育てる母親でもありますが、家庭と仕事の両立はどう成り立たせているのでしょうか?

【塚田】 いまは二世代住宅に住んでいるので、もう母親様様です。子育てに関しては、保育園の環境も素晴らしくて、働く親のサポートをしてもらって助けられています。家でも私が忙しい時は夫とも協力しています。仕事も子育ても、ひとりではやらないという考え方が大きい気がします。

塚田さんのその考え方は、どう形づくられたのですか?

【塚田】 小さい頃からそうでした。私は運動神経がよくなくて、泳げないし、走れないし、跳び箱も跳べないし、鉄棒もできない。何もできなかったんです。人間って、何もできないと、どこかで人を頼るようになるんです。だって、補助がないと跳び箱を飛べないし逆上がりもできないんですよ。小さい頃から、ひとりでは何もできないという自覚があったので、どうやってサポートしてもらうかを常に考えていました。私は旗をあげて「行くぞ!」と先陣切るのは怖くないんですけど、後ろを振り向いた時に誰もいなかったら、何もできないんですよ。だから役割分担が必要だと開き直っている感じですかね。

ひとりで頑張らないといけないんじゃないかと、思い込んでる人も多いと思います。

【塚田】 逆にひとりでやってる方は本当にすごいと思います。考え方の違いかもしれませんが、例えばひとりでやると報酬100万円が全部自分のものになるところを、10人のチームでやると1人10万になる。だけど私の場合は、それを10個やればいいじゃんと考えるんですよ。

違うことを10個やったら、いろんなことも広がりそうですね。

【塚田】 なんだか楽しそうですよね。

心が満足する方へ

塚田さんからは、決断の潔さとポジティブさをひしひし感じるのですが、それはどう培われてきたのでしょうか?

【塚田】 私は究極的な未来志向で、過去を振り返るのが嫌いなんですよ。会社員時代は営業をやっていたのですが、半期ごとにやらないといけない「振り返り」が大っ嫌いでした(笑)。終わったことを振り返るのに1時間をかけるよりも、今後どうしたらもっと良くなるか未来のことを話した方が、お客さんのためにもなるという考え方でした。だから私は嫌なことや苦労も過去に置いてくるし、ほとんど口に出しません。ネガティブなことを言ってそれに引っ張られる自分が嫌なんですよ。だから辛いことが起きても、身近な人にですら言わないですね。

ポジティブな状況をご自身で作っていってるんですね。

【塚田】 やっぱりコロナや震災を通して世の中の空気が変わった節目がありましたよね。「人はいつまでも命があるわけではない」「環境が突然変化することもある」と思ったのです。会社員時代もガムシャラに毎日朝8時から夜10時まで働いて。朝淹れたコーヒーが夜までそこに残っているのを見て「私、コーヒーを淹れ直す時間すらなかったんだ」と気づくくらい、切羽詰まってる日々を過ごしていました。

それは相当忙しい環境ですね。

【塚田】 仕事は楽しいし、やりがいもあったのですが、自分がいま死んでしまったらとても後悔すると思いました。したいことを常に続けてる状態ではなかったんです。要所要所では、したいことをしたり、行きたい場所に行ったりしてましたけど、それでいいのかなと。会社員だった時の私は、いま死んだら何も残らないんだと思って。

いつもやりきっているというのが、自分の心がいちばん満足してる状態なんだと気づきました。

なるほど。

【塚田】 常にしたいことができているのか、行きたい方に進めているかをひとつの大事な軸として置くようにして生きています。定期的に自分や、自分がいいと思うことに対して投資をして変化にも対応していく、それが今の私の生き方です。そうなると後悔するような選択はしなくなりますし、「来年はないかもしれない」と、目の前に来たチャンスを掴もうと考えるようになりました。

すごい。それを言い切れる人はなかなかいないと思います。

【塚田】 いまの「塚田茉実」のキャパシティでの今日は、精一杯使い切ってると言えます。でもみんなから「今死なれたら本当に困るからやめてください」って言われますけど(笑)。

新しい店舗のこともありますし、それはそうですね(笑)。

【塚田】 なので今回の出店の件も、目の前のチャンスを掴まない選択肢はなかったです。やっぱり掴んでみないと分からないことの方が多いと思っているので、そういうふうにチャンスを掴んでもいいんだと、気軽に挑戦してもいいんだと思ってくれる方が増えたら、私としてはすごく救われます。

優しさがまんなかにある街、駒沢

改めて塚田さんにとって、駒沢はどういう街だと思いますか? 

【塚田】 子育てのしやすいまちですし、公園もあって長く住まれている方の生活の豊かさを感じます。大学も近くにあるので、若い人も一人暮らしの方にもいいですよね。動物と子どもと大人が共存する街なので、まんなかに優しさがあるし、それがないと成り立たない街だと思います。だからこそ、このままであってほしい反面、全方位の方が暮らしやすい街かと言われたらそれは分からないので、駒沢のことを知りたいなとか、住んでみたいなと思う方が増えたら、それは駒沢にとってもいいことだと思います。

今後、商業施設での#flowershipも新しい一歩となると思いますが、期待することはありますか? 

【塚田】 今も、家族連れや、犬を飼っている方も散歩の帰りに来てくださるので、変わらずお越しいただきたいですし、いろんな店舗が入る商業施設でやるからこそ、駒沢に訪れたお客様が商業施設への来店をきっかけに、駒沢や#flowershipのことを知ってもらえるとうれしいですね。

#flowership
東京都目黒区東が丘2丁目11−17
https://flowership.jp/
・営業時間 11:00〜19:00
・定休日無し
*詳しい店舗情報についてはホームページをご覧ください。

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text / Lee senmi photo / ikue takizawa

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