
スペシャルティコーヒーとオーガニックな食事を楽しめるWOODBERRY COFFEE。用賀の1号店のオープンから13年余り。このたび駒沢の新たな商業施設に、10店舗目をオープンすることになりました。スペシャルティコーヒーの専門店のWOODBERRY COFFEEは「コーヒーを通してより良い世界を作る」を掲げ、産地に直接コーヒー豆を買い付けに行き、地球環境問題や現地への貢献にも取り組んでいます。その志はどこからやってきて、どこに向かっていくのか。オーナーの木原さんに、用賀・WOODBERRY COFFEE本店にてお話を伺いました。駒沢では”food”にも力をいれていくとのことーー。
深沢生まれ、用賀育ち。
WOODBERRY COFFEEはここ、用賀から始まりましたが、木原さんは生まれも育ちも用賀なんですか?
【木原】生まれは深沢7丁目で、保育園の頃はよく駒沢公園に遊びに行っていました。小学校は桜小学校、中学校は瀬田中学校です。小学4年生の時に用賀あたりに引っ越して、それ以来ずっとこのあたりが地元です。
ご両親はお花屋さんを営んでいたとか。
【木原】3歳の頃から労働力として駆り出されていましたよ(笑)。両親が自営業で、これは大変だと見ていたので、その反動で「真逆の高給サラリーマンになりたい」と思って、大学はアメリカに留学して経営学を学んでいました。でも父がガンになって、大学3年生の時に他界してしまい、日本に戻らざるを得なくなったんです。
帰国後、「これから何をしようか」と考えた時に、地元に貢献できて、自分らしいビジネスを始めたいと思ったんですね。そして立ち上げたのが、WOODBERRY COFFEEです。
正直、事業はなんでもよかったんですが、「用賀にあったらいいものはなんだろう」、そして「自分のできること・やりたいこと」を掛け合わせたときに、最大公約数として出てきたのが、コーヒーだったんです。
家業を継ぐことは考えなかったんですか?
【木原】一度は考えましたが、大学で経営学を学んでいたのもあって、原価率を踏まえると花屋は厳しいなあと。コーヒーは世界中の人が飲むものですし、アメリカでスペシャルティコーヒーのムーブメントを肌で感じて、すごくいいなと思っていたんです。
今回、そんな地元用賀とほど近い駒沢にお店をオープンしようと思ったきっかけは?
これまでも、出店するのは「自分の好きな街」と決めています。やっぱり知ってる街だからお店を出したいと思えるんです。逆を言えば、知らなかったら出せない。駒沢には駒沢公園がありますし、僕も犬を飼っているので、よくドッグランにも行っています。おいしいお店もたくさんあるし、暮らしやすい街ですよね。
WOODBERRY COFFEE1号店の用賀からほど近くにあって、もう一度、自分たちの目指すお店をここに根付かせたいなと思っています。

一人前のコーヒー屋さんになりたい
元々コーヒーはお好きだったんでしょうか。
【木原】家でも両親がずっとコーヒーを飲んでいましたし、身近ではありました。高校生の時は少し背伸びして、朝にスタバで1時間くらい勉強して学校に行っていました。
WOODBERRY COFFEEでは「コーヒーを通してより良い世界を作る」というミッションを掲げていますが、少し詳しくお願いします。
【木原】「宇宙船地球号」という考え方があるのですが、これは地球上の資源が限られていることや、その適切な使い方を語るために、地球を閉ざされた宇宙船にたとえた表現なんです。僕はそれを「隣人にやさしくすること」だと捉えています。地元の人たちにコーヒーを通した体験を届けると同時に、産地で直接豆を買い付けて現地にも貢献し、持続可能な関係を築いていく、そんな「一人前のコーヒー屋さん」を目指しています。その意味で、一番大切にしているのは、サスティナビリティです。
一人前のコーヒー屋さんとはーー。
【木原】スペシャルティコーヒーはもともと、大型チェーンに対するカウンターカルチャーとして、アメリカで2000年代に始まった「サードウェーブコーヒー」から生まれています。基本的には産地を直接訪問してコーヒー豆を買い付けることが前提の、シングルオリジン(*特定の産地で生産されたコーヒー)です。
アメリカに、サードウェーブコーヒーの御三家のひとつである「Stumptown Coffee Roasters」というところがあるのですが、そこは豆を仕入れているルワンダの農園まわりの治水工事を行って、子どもたちが綺麗な水を飲めるように環境を整える活動も行っています。
そんなふうに、お客様においしいコーヒーを提供しながら、農園で働く人やそこで暮らす人も豊かになるような関係を築くことが、コーヒーでできることの本質だと思っていて、それを実現したいんです。

木原さんが「一人前のコーヒー屋さん」だと、目標にしているところはあるんですか。
【木原】日本のスペシャルティコーヒーを作った諸先輩方ですね。産地へ貢献しながら日本のコーヒーを底上げした先輩方に、僕たちも20年で追いつきたいという目標があります。
彼らも20年くらいでそれを実現していたので、僕たちも産地への貢献を目指して1年に1店舗ずつ店舗を増やしています。今後、産地からの輸入量を増やすために20店舗まで増やす予定です。
20店舗もですか!WOODBERRY COFFEEで働く人たちにも、木原さんの想いは浸透しているのでしょうか?
【木原】そうだと思ってます。
それはどう浸透させているのでしょうか。
【木原】経営に関するいろんな本を読んで、いいところを取り入れています。いかにチームのカルチャーを醸成するかが、いいプロダクトを作ることに繋がるので、「自分」よりも「ブランド」としてどうするのかを大切にしています。なので会社のことも、基本的にはみんなで決めています。
みんなで決めるのは、なかなか大変なことじゃないですか。
【木原】意思決定者が1人というのは重要なんですけど、それまでに全員の意見を聞いて、その最大公約数を見つけています。社長の役割は編集者みたいなものですね。店舗も店長に裁量権を渡して任せています。

産地への貢献を心がける木原さんが、駒沢にオープンする新店舗はどんなお店になるのでしょうか。明日の後編に続きます。
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text / senmi lee photo / ikuko soda
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