ゼロからのスタート R369(アールみろく)。彼女が実現したかったオーガニックワイン&レストランを。豊かな時を育む、創作料理。【前編】<テナントインタビューその③>

インタビュー

「安心・安全な食事をさまざまな年代の人に楽しんでもらいたい」。
「Organic Wine&Restaurant R369」(アールみろく)は、Risaさんというひとりの女性の想いから始まりました。農薬や添加物を使わない新鮮な食材、革新的な料理とこだわりの器、妥協のないナチュールワイン……。
彼女の夢の続きはご家族と仲間たちの手によって、ここ、駒沢の新しい商業施設で紡がれていきます。モーニングからディナーまで、「駒沢ラグジュアリー」を目指す「R369」(アールみろく)
これからどんなレストランになるのか、ゼロからのスタート、その物語を、ぜひ一緒に見守ってください。代表の安原健太さんとオーナーの安原京子さんに、お話を伺いました。

Risaさんの夢だったオーガニックレストランを

お二人がR369(アールみろく)のこれからを築いていくということですが、飲食業に携わるのは初めてと、聞きました。なぜ、レストランをはじめようと思ったのですか。

【健太】もともとは、妹のRisaの夢だったんです。彼女は2年半前に病気を患い、自然食による治療に関心を持ったことがきっかけです。そして食生活を見直す中で添加物や食材についてさまざまな気づきが生まれ、買い物や外食がだんだんと難しくなっていきました。国際線の客室乗務員として働いていたこともあり、海外のオーガニック事情やレストランにも詳しかったんです。でも、日本にはオーガニック食材を扱うレストランが少ないことを残念に感じ、それだったら「私がやろう!」と思ったようです。

そこから、どのようにしてレストランを開こうと思われたのですか?

【京子】娘のRisaは、体調を崩したことで飛行機を降りて、地元の駒沢地域に引っ越したんです。そうしたら駅前で工事をしていて。直感で「ここはきっと商業施設になる! それならここでレストランをしたい!」と強く思ったようで、工事現場に貼ってある連絡先に電話をしたそうなんです。

まったくの「飛び込み」状態だったのですね。

【京子】そうなんです。繋いでもらって、また繋いでもらって。という感じで。飲食業未経験で、いわゆる「ツテ」もない状態。

まわりのみなさんは心配されたのではないですか。

【京子】闘病中でもあったRisaは、まわりが口出しすると「こっちは命がけだから!」と本気とも冗談ともとれることを言ってきて(笑)。見栄とか人にどう見られるかいうことよりも、病気を治すために食において自分が信頼できるレストランをつくりたいという思いが勝っての挑戦だったと思います。

すごい行動力ですね! そこから今秋のオープンまで辿り着かれたんですね。力をいただきます。

【京子】ありがとうございます。ただ、Risaはオープンまで1年を切った冬に、2年半の闘病生活のあと、開店を見ることなく他界いたしました。残念でなりません。

娘の性格上「土台はつくったから、あとはみんなよろしくね!」とほほえんでいるのではないかと思います。彼女の想いを受け継いで、安心で安全な食材を使った、お客さまに幸せになってもらえるレストランを目指してまいります。そこだけは、しっかり守りたいと思っているんです。

Risaさんの想いとこだわりを継いで

Risaさんが他界されたあと、このプロジェクトを諦めようと思ったことはなかったのでしょうか。

【健太】まったくなかったですね。逆に妹の想いを継いで、絶対に成功させようと、団結しました。私自身10年半勤めた外資系ラグジュアリーブランドの店長職を辞めて、経営者としてやっていこうという決断は、大きいものでした。
悩んだり落ち込んいる間もなくプロジェクトは進んでいくので「これは切り替えてやるしかない」「使命と、人生をかけた仕事だ」と、今に至るまで迷いなく、前だけを向いて走っている感じです。

ご家族以外にもRisaさんのために集まったメンバーがいらしたそうですね。

【健太】はい。料理長は2025ミシュランのビブクルマンを獲得した「Lien」のシェフの塚本 明さん、ホールの担当者はRisaの客室乗務員時代の親友が担当してくれます。それぞれ、今の職場を辞めてのチャレンジです。

「Lien」は、この近くですと池尻の隠れ家フレンチで人気ですよね。

【健太】そうなんです。塚本さんは「Lien」のオープン時からスーシェフを務め、虎ノ門店ではシェフの経験もある方です。洗練された料理に加えて、ソムリエでもあるのでワインの知識やペアリングも得意です。今は、一緒に全国に出向いて、メニュー開発に全力で向かってくれています。駒沢のみなさんには、ふだんの暮らしの中で、ミシュランシェフが作る本格的な創作料理をと思っていますので、ぜひ楽しみにしていてください。

オープンに向かうなかで、特に大切にしていることはありますか。

【健太】妹の名前ばかりになってしまうのですが、やはり一番はRisaが「実現したかったレストラン」にすることです。すごく細かいところですが「ポテトにはこの器を使いたい」など、残っている写真があります。彼女の描いていたビジョンは叶えつつ、お客さまに絶対に納得してもらえるものをと思って進んでいます。先日母とその器を買いに行きました。

それは、どんな器ですか?

【京子】ストウブのココットです。小さいころからからポテトが好きで「ポテト料理はストウブでこうして出すって決めたから!」といろいろとこだわっていましたね。ちゃんとストウブを買って、シェフにポテト料理も相談してるので、そこは天国で褒めてくれているんじゃないかしら。

今オープンに向けてつくりあげているものは「Risaさんだったらどう思うか」を大切にされているのですね。

【京子】そうですね。調味料も「Herbaria」で! とひとつひとつにこだわりのある娘でしたので。

「R369」(アールみろく)という店名にはどんな思いが込められているのですか。

【京子】あるとき閃いたんです。娘も京都に住んでいたことがありまして、私も京都に仕事で行く機会が多くて。ご縁のある京都の国宝第1号に指定されたのが弥勒菩薩なんですね。すべてのお客さまに弥勒菩薩の特徴的なほほえみとして知られるアルカイックスマイルを。という思いで「369」(みろく)とつけました。頭文字にはRisaのRをつけて「R369」(アールみろく)となりました。

京子さんの、気持ちの持ちようや整え方がとても魅力的ですが、何か大切にしていることはありますか?

【京子】私はもう、「感謝、前向き、絶好調!」この言葉を何度も自分に言い聞かせるようにしています。そうしていると、気持ちがちゃんと整うんです。(後編へ続く)

明日公開の後編では、R369(アールみろく)が、オーガニックレストランとして目指すものーー、そんな一歩を、お届けします。
<Risaさんについてはこちらからも記事をお読みいただけます>

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text / shino iisaku photo / eriko matsumoto 

『今日の駒沢』編集部

駒沢エリアの情報を発信するウェブマガジンの編集部です。駒沢大学駅に隣接した商業ビルの運営・施設管理・テナントへの賃貸業務を26年、株式会社イマックスが、駒沢エリアに住む人、働く人、活動する人…とたくさんの市民の方々と一緒に運営しています。「駒沢こもれびプロジェクト」を通じて、駒沢エリアに関わるすべての方々に役立つ情報を発信しています。

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